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COLUMN 儲かる10億円ヒット商品・事業をつくる「カテゴリーキラー戦略」コラム

第31話 最近、売上が減ってきた、と感じる経営者へ


 

「実は、最近うちのメイン商品の売上げが下がってきていまして、早急に対策をしたいのですが、相談に乗っていただけないでしょうか。」

 

※カテゴリーキラーとは、競合他社を圧倒する差別化された強い商品・サービス・事業のこと。


 

先日、当社にお越しになった経営者からの相談でした。

その経営者は、ご自身で雑貨関連の事業を立ち上げて、3年ほどで3億円ほどの売上げ規模までに成長したのですが、最近、売上げが下降気味になってきているということでした。

今年に入ってから、このように、売上げに陰りが出てきているので、対策をしたいという経営者の相談が増えておりますが、原因をどのようにとらえるかによって、対策の打ち手が変わってきます。

 

売上げ低下の原因は、様々なケースがありますが、大きく2つの要因が考えられます。ひとつは、競合の参入が増えて自社商品やサービスの魅力が相対的に下がるというケース。もう一つは、お客様のニーズそのものが変わってしまうというケースです。

これは、一般向けの商品やサービスを展開する企業だけでなく、受託のビジネスであっても同じ事が言えます。

 

競合の参入が増えていくケースでは、市場自体は伸びている場合も多く、自社の商品・サービスをより魅力的なものに進化させていくことで、生き残れる可能性があります。

その場合は、新たな機能を付加したり、商品コンセプトにエッジを立たせたりしていく事で、戦略的にポジショニングをずらし、再び成長軌道に乗せることができます。

 

当社のコンサルティング経験でも、競合が増えて売れなくなってきた商品やサービスをテコ入れして、再び大きな売上げを生み出すようになった事例がありますが、全てそのように意図的に市場の中で際立つポジションをつくっています。

競合が増えてどこまで売上げの打撃を受けているかによって、深刻さは変わってきますが、しっかりとお客様のニーズがあり、市場が存在していれば、必ずチャンスはあります。

最近の事例では、受託で紙関連の製造を行っている会社が、成熟産業といわれる業界の中で、新たにお役にたてるポジショニングを創出して、大きく売上げを伸ばした例がございます。

その会社は、コンサルティングの途中で注文が殺到し、社長が現場対応しなければまわらないほどになってしまい、よい意味でコンサルティングを延期しなければならない状況になってしまいました。

また、最近当社にご報告にこられた、小さなクリニックは、以前は廃業寸前のところまで追い込まれていましたが、当社と一緒に戦略をつくり、早急に取り組んだことで、半年ぐらいで売上げをV字回復させ、そこから1年もたたないうちに繁盛店として復活しました。

現在の年商は、当時と比較すると倍以上になっているというご報告を頂きました。

このように既存商品やサービスのポジショニングを再設計することで、再び売上げを上げていくことは可能ですが、ここで注意しなければならないことは、競合企業はその状況を黙って見ていませんから、安心してはいられません。

次の打ち手は常に考えて行く必要があります。打ち手を止めていると、知らないうちに競合に市場を奪われてしまい、売上げは急落していきます。

 

一方で、これまでなかった新しいタイプの商品やサービスの新規参入があったり、お客様のニーズが大きく変化したりしているときは、注意が必要です。抜本的な戦略の見直しを強いられるケースもございます。

 

半年ほど前に、富士フイルムホールディングスの古森会長の講演を聞きました。

富士フィルムは、2000年にデジタルカメラの出現で、カメラ用のフイルムマーケットが無くなるという危機に直面しました。

その局面では、いちはやくこの危機に対応するために、新たな市場機会を徹底的に考え抜き、会社を存続させる戦略をつくったという話でした。

その後、その戦略は見事に機能して、売上げをV字回復させて、ご存じの通り現在も会社は活力をもって存在しています。

富士フィルムが、いちはやく危機に対応したのに対して、当時、競合企業であった米コダック社は、対策が遅れて倒産に追い込まれてしまいました。

 

世の中の全ての商品・サービスには、寿命があります。この事を学術的に説明したのが、プロダクトライフサイクル理論と呼ばれるものです。

全ての商品・サービスは、「導入期」→「成長期」→「成熟期」→「衰退期」があるという考え方です。

この理論の最大の欠点は、自社が属している商品・サービスが、このプロダクトライフサイクルのどの時点にあるかは、現段階では、正確に把握することは難しいということです。

あの時点が、「成熟期」だったとか、「衰退期」だったということは、そのマーケットが消滅するところまでいかないと分からないのです。

コダック社が、対応が遅れた理由がそこにあります。それは、デジタルカメラが出現しても、そんなにすぐには、フイルムマーケットは無くならないという考えであったため、経営陣の対応が遅れたのです。

 

現在、自社の商品・サービスが、プロダクトライフサイクルのどの位置にあるかは、正確には分からないとお伝えしましたが、だからといってそれを無視して良いものでもありません。

大切な事は、このプロダクトライフサイクルを意識して経営をすると言うことです。

つまり、「導入期」→「成長期」→「成熟期」→「衰退期」という流れで、今、自社が提供している商品・サービスはどこに位置づけられるかということを予測して、商品・サービスの質を常に高めていき、より長く生存できる道をつくっていくという事が大切です。

また、同時に、いずれニーズがなくなっていくという仮説にもとづいて、常に新しいものやサービスを生み出し続けていく努力をしていく必要があるということです。

 

現在、毎月20社ほどの企業が当社のカテゴリーキラ-づくりの指導を受けにこられていますが、冒頭で紹介した雑貨の事業を行っている会社は、競合の参入が増えてきた中で、まだまだ市場は拡大していく「成長期」であるということを前提に、既存商品のカテゴリーキラー化に挑戦しています。

そして、新たな競争軸でポジショニングを再設計し、取り組みをはじめたところ、早くも売上げ回復の兆しが見えてきています。

また、いずれ主力の事業は「衰退期」に入るということを視野にいれながら、次の展開準備として、あらたなカテゴリーキラーづくりに取り組まれている会社もたくさんございます。

そのように新しいカテゴリーキラーづくりに取り組まれている会社の特徴は、目下の業績は好調でありながらも、次の成長カーブをつくらないといずれ淘汰されてしまうという危機意識を強く持たれています。

 

そのような常に危機意識をもった経営者には考えられない事かもしれませんが、世の中には、売上げが下がりはじめても、次の打ち手をなかなか打たないという会社も存在します。

これまで、10年間のコンサルティング経験で、そのような残念な会社も見てきました。少しでも余裕があるときに、打ち手を打てる時期に、力強く次の展開、次の戦略を描く必要があります。それを怠ると、間違いなく、ゆで蛙のように、気づかないうちにゆであがっているような、厳しい状況に追い込まれてしまいます。

 

ある地方の企業で、創業100年以上続く老舗の食品会社がありました。長年その地で商売をしていたものの、いつしか主要取引先の小売店が自社商品と競合するPB商品を発売することになってしまい、そこから急激に売上げを落としてしまいました。

その会社は、長年その主要取引先に依存していたので、すぐにこの状況に対応することができず、そのままじり貧の経営を続けてしまいました。

結果として、毎年、赤字が積み上がり、融資でなんとかつないでいましたが、数年後には融資も断られるようになってしまい、ついに倒産してしまいました。

 

歴史があまりない、若い企業はもちろんのことですが、歴史がある企業も油断は禁物なのです。

あるデータでは、企業は、10年で95%消滅します。

また、20年では99.7%が消滅するということですから、100年存続する企業は本当に素晴らしいと思います。

しかし、100年存続しているということは、さらに存続確率は下がり、時代の変化の中でより厳しくなっていくという見方もできます。

 

創業100年までいかずとも、20年、30年と歴史がある企業は、信用がある反面で、古い組織体質が足をひっぱってしまい、新しい取り組みが遅れがちになるというデメリットがございます。

それは、非常に危険なことで、市場環境の変化に対応することが遅れてしまう可能性があります。

プロダクトライフサイクル理論に示されている通り、自社が提供する商品・サービスには寿命があるということをしっかり認識をして、常に対策を講じる必要があります。

 

もし、あなたの会社の売上げが下がり気味という事でしたら、一旦立ち止まって、いまの市場環境から近い将来を予測してみる必要があります。

 

あなたの会社のメインの商品・サービスは、いまどんなステージにありますか?

 

 

株式会社ミスターマーケティング

代表コンサルタント

村松 勝

 

【追伸】

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