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COLUMN 儲かる10億円ヒット商品・事業をつくる「カテゴリーキラー戦略」コラム

第71話 デザインに力を入れても、うまくいかない理由とは?


  

自社商品のブランドをリニューアルしたのですが、前よりも売れなくなってしまいました・・・。もうどうしたらよいかわからなくなりました・・・」

 

 先日、当社のスポットコンサルティングにいらした方から、商品のブランディングについてのご相談を受けました。

 

※カテゴリーキラーとは、競合他社を圧倒する差別化された強い商品・サービス・事業のこと。


 このようなご相談は、よくあります。

 

 自社商品をもっと売れるようにするために、色々と手を尽くしたものの、なかなか思ったように売れ行きが伸びない、といったケースは本当に多くご相談を受けます。

 

 もし、あなたが、これまでのコラムや当社の「カテゴリーキラー戦略」の書籍などをお読み頂いている場合には、なぜうまくいかないのか、もうおわかりですね?

 

 例えば、商品やサービスの良い価値を、ネーミングやデザインの表現によって、ターゲットとする顧客に、より魅力的に伝わるようにする・・・、

 

 このことは、とても大切なことで、これまでも何度か本コラムでお伝えしてきましたが、そのこと以前の問題として、実は、そもそも、その商品やサービスの差別化、つまり、より良い価値が見出せていない場合があります。

 

ご自身の思い込みによって商品を作りあげてしまって、ターゲットとする顧客のニーズに刺さらないということです。

 

いずれにせよ、その商品の価値を今一度見出してあげて、適切なターゲット顧客の選定とニーズの深掘りを丁寧にしていく以外ありません。

 

往々にして、カタチにしたいと焦るが余り、それらのプロセスをおろそかにしてしまうのですが、たいがいうまくいきません。

 

もしうまくいったとすれば、それは相当センスのある方か、もしくは「まぐれヒット」と呼ぶものでしょう。

 

 それでは、仮にそのセンスのある方が社長である場合には、社長が引退に近づけば、ノウハウとして組織に残りませんし、ましてや、たまたま「まぐれヒット」は生み出せても、その後、再現性のある商品開発はできません。

 

 組織の成長とは、日々新たなる商品やサービスの開発を継続的に行うことでしか望めません。それは、既存の商品やサービスのみに固執していると、やがて顧客がその商品やサービスに飽きるか、または競合の参入によって相対的な価値が下がって同質化するからです。

 

 企業とは、そのような宿命にあるのです。

 

 さて、かつてこのような相談がありました。

 

 「先生、このパンフレットのデザイン案を見て頂けないでしょうか?」

 

 初回のコンサルティングの際に、法人向けサービス事業を展開している会社の営業マンから相談がありました。

 

 会社からは、内容が古くなってしまったパンフレットを早く刷新して、営業に使うようにしてほしいと指示があったとのこと。

 

 12ページにわたるサービスの概要を説明したパンフレットでした。見た目はとてもおしゃれで、キレイなものに仕上がっていました。

 

何でもその会社の経営者の知り合いで、コピーライターも抱えている、腕の良いデザイン会社を経営している方がいて、そこに頼んでつくってもらったそうです。それなりの費用もかかるとのことで、良いものを作りたいと切望していました。

 

 しかし、我々は、一通り見て次のように話しました。

 

 「確かに、おしゃれでキレイなものに仕上がっており、前のパンフレットに比べれば、印象がとても良いものになりますね。

 

しかし問題は、中身がないことです」

 

中身がないとは、そのサービスの受け手にとって、つまりターゲット顧客にとって、刺さる内容や構成になっていないということです。

 

サービスを提供する会社は、カタチのないものを販売している以上、そのパンフレットや説明資料が、そのサービスを見える化して伝えることのできる唯一の手段です。

 

もちろん、お試しでそのサービスを利用するということはあっても、そもそもお試しであっても、使いたいと思ってもらわないといけません。

 

 聞けば、特に差別化なども意識せずに、制作を、そのデザイン会社に依頼したとのことです。それでは、良いサービスであっても、良い価値が伝わりません。

 

 そのため、

 

 「このパンフレットを制作するのは、いったん止めてください。コンサルティングを進める中で、差別化を明確にし、サービスのネーミングやタグラインも考えた上で、またそのパンフレットの制作を再開して頂けますか?」

 

 と伝えました。

 

その営業の担当者は、早く作らないといけないと思っていたので、少し困り果てた顔をしていましたが、それなりの費用もかかることから、会社としても待つ判断をしてもらって、コンサルティングを進めることにしました。

 

 やがて、コンサルティングも終盤にさしかかり、差別化やネーミング、タグラインが決定した後、そのパンフレットの制作を再開しました。

 

 そうして、できあがったパンフレットは、素晴らしいものに仕上がりました。そのパンフレット1つで、その会社の良いサービスの価値や差別化を、如実に語っているものになりました。

 

 その後、そのパンフレットを使って、営業するようになりました。そうしたところ、引き合いが見違えるように増えていき、売上もぐんぐん上がっていきました。

 

そして、その制作した翌年には、会社として、何と過去最高業績をたたき出しました。そして100名近くいる社員の皆さんで報奨旅行として沖縄に行ったそうです。

 

 いつもパンフレットを作るときには、

 

「『一人歩きできるパンフレット』を作って下さい」

 

とお伝えしています。

 

これは、必ずしも営業マンが説明する相手の方と、そのサービスを導入するか決める決裁者が一致しているわけではないためです。

 

決裁者が、営業マンの説明を聞かずに、パンフレットや説明資料、またウェブサイトなどの情報から判断されてしまうことを考えると、いかにして、それらが、そのサービスのより良い価値を雄弁に語れるものになっているかをよくよく検証しておく必要があります。

 

しかし繰り返すまでもなく、パンフレットや説明資料、ウェブサイトをつくる以前に、商品やサービス、そのものの価値を見出すことが何より先決であり、このことが明らかにされないまま、いくらパッケージデザインやパンフレットなどに力を入れても、売れていかないのは、一目瞭然でしょう。

 

逆をいえば、そのことをしっかりと行うことで、成果につながっていきます。

 

例えば、パッケージデザイン1つとっても、過去に、家電、食品、雑貨、など多くの商品で、売上につながっていきました。

 

今の課題がどこに潜んでいるか、そして、そのことをどのように解決していくのか、この意志決定を間違えてしまうと、そこでかかった費用をムダにするのみならず、そこへ費やす時間をもムダにしてしまいます。

 

何年後かに、そのことに気づくのか、今、そのことに気づいて適切な打ち手を打つのか、今一度、自問自答して考えて欲しいと思います。

 

今、何をなすべきか、この自問自答する時間こそ、経営者が最も大切にすべき時間なのです。

株式会社ミスターマーケティング

代表コンサルタント

吉田 隆太

 

 

【追伸】

当社のホームページでは、「お悩み解決事例」を多数公開しています。いずれの事例も、「戦略」をしっかりと方針書に落とし込んで、戦略的にカテゴリーキラーを生み出した事例となります。老舗企業も含めて、様々な業種の事例を公開していますので、参考になりそうな企業があれば、ぜひお読みください。

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