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COLUMN 儲かる10億円ヒット商品・事業をつくる「カテゴリーキラー戦略」コラム

第96話 受託事業を脱却して「自社ブランド」づくりを成功させる秘訣

 

 「自社ブランドをつくるうえで競争軸を意識することが大切なのですね。これまで、そのような意識がないまま経営をしていました」


※カテゴリーキラーとは、競合他社を圧倒する差別化された強い商品・サービス・事業のこと。

 

冒頭のコメントは、当社に相談にこられたメーカー経営者のコメントです。

同社は受託の製造が中心で、歴史のある事業を行っていますが、ここ数年、価格競争が激しく、なかなか利益が出ずに苦しんでいました。

 

そこで、一般消費者向けに、自社ブランド開発に取り組むものの、どれもパッとしない売上で、どうすれば売上があがる商品がつくれるのか悩んでいました。

 

(ここでいう自社ブランドとは、顧客企業に委託されて製造する製品ではなく、自社の企画で開発し、自社オリジナルの商品ブランド名をもって売り出す商品を指します)

 

そこで、これまでに開発した商品をいろいろと見せて頂いたのですが、いずれの商品も戦略的な意図を感じない商品ばかりでした。

 

戦略的な意図を感じる商品には、必ず市場で優位性を発揮する「競争軸」があります。

 

「競争軸」とは、お客様に受け入れられ、且つ競合との違いを明確にするものです。

 

たとえば、価格の比較において競争している市場の中で「お手軽感」「時短」「健康」「新しい成分」「機能」…などあげればきりがありませんが、競合にはない新しい軸を1つ入れることで、競合との違いをくっきり明確にするのが「競争軸」です

 

ここで注意しなければならないことが、競合との違いだけに目を奪われた競争軸を作っても、それがターゲット顧客にとって、価値の感じられない軸であれば意味が無いということです。

 

あくまでも、「競争軸」は、お客様に受け入れられる前提が必要ということです。このポイントがずれると、独りよがりの「競争軸」になってしまうので注意が必要です。

 

この「競争軸」を意図して設定していない商品をいくら開発してみても、一般消費者にはそのコンセプトは伝わらず、市場で埋もれてしまい、なかなか売上にはつながりません。

それどころか、それを繰り返していれば、無駄なコストが増大して、やればやるほど、会社の体力を奪われます。

 

特に、受託の製造を中心としていた会社が、一般消費者向けの商品で挑戦していく際には、かなり慎重に「競争軸」を設計する必要があります。

 

しかし、受託の製造を行っていた会社が、一般消費者向けの商品を開発して、自社ブランドとして育てていこうと考える際に、多くの会社がこの「競争軸」をつくるという意識が希薄です。

 

その理由の最大の原因は、経営者が「競争軸」をつくる必要性や意味合いを認識していないことにあります。

 

一般的に、受託の製造業は、顧客企業の要望を受けて、製品づくりをお手伝いしていますから、その製品づくりにおいて、「競争軸」を意識する必要はありません。ですから、経営者自身が「競争軸」をつくるという事に意識が向いていません。

 

「競争軸」づくりは、製造を委託している顧客企業が考えています。大手企業であれば、マーケティング部署が必死に勝てる「競争軸」を生み出す努力をしています。年収1,000万円超の腕利きのマーケター(マーケティングを専門職とする人)を雇って、メーカーの頭脳部隊として機能しています。

 

なぜ、そのような大きな人件費がかかる専門部署が必要かを考えてみれば、分かると思いますが、それが経営上とても重要だからです。

 

また、中堅以下の企業であれば、才能がある社長が中心となって、売れる商品をつくるために、その「競争軸」を常日頃から考えています。

 

大手企業であれ、中堅・中小企業であれ、自社ブランドづくりで成功している会社は、市場で勝負できる商品づくりの研究を常日頃から行い、「競争軸」をつくって勝負していくことが社風、文化になっています。

 

一方で、受託の製造業は、顧客企業の要望に正確に応えて、高い品質の実現、低コストの実現、納期の厳守に意識を向けて勝負しています。経営者がそこに意識を向けていますので、そのことが社風、文化になっています。

 

この会社の社風、文化を変えていくことは容易ではありません。どんなことでも、感覚的にわからない分野の感覚をつかむまでには、それなりの時間と努力が必要です。

 

ですから受託製造を行っていた企業が、一般消費者向けに、自社ブランドを作って勝負していくということは、社風、文化を変えるぐらいの気持ちで、本気で取り組む必要があります。

 

同じメーカーが、受託でつくるものと、自社ブランドをつくるのは、製造工程自体に大きな差はありません。ここが落とし穴になります。自社も同じようなものをつくれば売れると思ってしまうのです。

 

しかし、先行している競合の強いブランドが複数存在している中で、その後を追うように似たような商品を売り出してみても、最初からその強いブランドの存在に埋もれてしまい、価格以外に勝負しようがなくなります。

 

 

そうならないためには、やはり、市場で埋もれないための「競争軸」を最初にしっかりと設計していく必要があります。要は、生産を開始するまえの企画段階に最大限の力を注ぐのです。

 

そのことを経営者自信がしっかりと認識する必要があります。

受託製造業で、それなりの成功を収めてきた会社の社長は、会社内では絶大な力を持っています。この社長の意識を社員が変えることは難しいでしょう。

 

ですから、社長ご自身が、自社に足りない点に気づいて、社風、文化を変えるぐらいの気持ちで、一般消費者向けの市場で勝負する「競争軸」づくりに意識を向ける必要があります。それが、会社を変えていく、受託事業を脱却して、自社ブランドを築いていく第一歩になります。

 

そのうえで、やるべきことと言えば、丁寧に市場を分析して、自社ブランドで勝つためのシナリオ、「競争軸」を一生懸命に考えていくしかありません。当社はそのお手伝いをしています。

 

 

これまでに、14年間で、300社以上のお手伝いをしてきましたが、受託事業を脱却して、自社ブランドで大きな売上げを上げた会社が複数社存在します。

 

ある食品メーカーは、受託製造が中心の事業でした。この会社も、長年価格競争に苦しんでいました。それなりに売上はあるものの利益が出にくくなっていました。

 

メーカーにとっては、売上も大切ですが、それ以上に利益率を改善していきたいと考える経営者は多いです。同社もこのまま利益がでない体質を脱却できなければ、会社の未来はないと考えました。

 

そして、受託事業に頼らない、自社ブランドづくりに何年も挑戦してきましたが、いくら挑戦しても、満足な結果につながっていませんでした。

 

メーカーが、人件費、時間、お金をかけてつくる新商品開発は、とても大きなエネルギーを要します。その新商品が思うように売れない状況を繰り返していると、会社に負け癖がついてしまうことがあります。

開発に携わる社員もだんだんモチベーションが下がっていき、負のスパイラルに陥ってしまいます。

他部署からは、冷たい目線で見られ、新商品の企画ができるたびに、「お金がもったいない」というネガティブな見方をされてしまうケースも多いです。

 

同社も同じような状況にありました。そこで、経営者自らが、当社の指導を受けて自社ブランドづくりに挑戦しました。

 

そして、最初に手掛けた商品が、会社の年間売上を3割も押し上げる、同社切ってのヒット商品になりました。まさに、業界が注目するカテゴリーキラーとなりました。

 

実は、その商品は、これまで売っていた既存の商品をリニューアルしたものでした。

ですから、これまでと製造工程は同じです。何が変わったかといえば、市場で勝負していくための明確な戦略、つまり「競争軸」を設定したのです。

 

設定した「競争軸」に従って、商品コンセプトから見直して、ネーミング、パッケージデザインもフルリニューアルして、さらにその商品に相応しいプロモーションも企画していきました。

 

また、売り先は、全国の小売チェーン店となるので、バイヤー向けのプレゼンテーション資料まで一貫して、この「競争軸」で勝負していく価値や意味合いを伝える努力をして、営業をしました。

 

これまでと同じ営業マンが、中身は同じ商品を持って営業していったのですが、次々と採用され、あっという間に、全国展開している複数の大手小売チェーン店の棚を獲得していきました。売上は一気にのびて、製造が追いつかないレベルにまでなり、社内に嬉しい悲鳴が上がりました。

 

同社は、実体験を通じて、「競争軸」を設定する意味合いをつかみました。

 

そして、その後も、新商品を開発する際は、「競争軸」をしっかりと意識して、取り組んでいったところ、新商品の成功率は格段に上がりました。

 

結果として、自社ブランドの売上比率はぐんぐん上がり、3年ほど経過した頃には、受託事業の売上を逆転して、自社ブランド中心のメーカーに生まれ変わりました。

もちろん自社ブランドの比率が上がった効果で、利益率も大きく改善しました。

 

 

これまで14年間、300社以上のコンサルティングで、メーカー業・サービス業・小売業・店舗業、また、法人向けの市場、一般消費者向けの市場を問わず、いろんな成功事例がありますが、成功企業には、共通点があります。

 

それは、社長の意思決定です。

 

しっかりと自社が戦うべき「競争軸」を定めて、カテゴリーキラーを持って本気で独自市場をつくっていこう!とことんやりきろう!という意思決定です。

 

その意思決定が本物であれば、高い確率で成功します。

 

もちろん、プロジェクトの内容によって難易度は変わります。また、会社のレベルや置かれている状況によっても成果が出るまでの時間に差もあります。

 

例えば、これまでに経験のない自社にとっての新分野を開拓したり、BtoBから、BtoCへの事業転換などは、テストマーケティングを繰り返して、自社にとって最適なプロモーションを開発していくことも大切で、それなりの時間を要します。

 

どんなプロジェクトでも大切なことは、しっかりと市場を分析して、戦略的な視点をもって精度の高い「競争軸」を最初に設計することです。

ここがずれたまま、時間をかけて市場開拓をしていっても、なかなか成果につながりません。

 

また、「競争軸」の設計について、その設計プロセスや意味合いを社長がしっかりと理解していることも大切です。そうでなければ、競合の参入や、顧客ニーズの変化で、「競争軸」を見直すべきタイミングに気づくことができません。

いままで順調に売上げが伸びてきたところ、売上の伸びに陰りがでたり、売上が下がったりするようなケースでは、「競争軸」の設計を見直すタイミングであることも多いです。

 

さらに、社長が「競争軸」を生み出すことの理解ができなければ、売れる商品づくり、自社ブランドづくりにおいて、再現性をもった経営ができません。

企業が生み出す商品・サービスは、一時的に売れれば終わりではありません。会社として、市場で売れる方程式、ノウハウを体得することが何よりも大切です。

 

よくあるケースは、「競争軸」の設計が甘いまま、ブランドデザインに力を入れて、成果につながらないということです。

 

これでは、何年経っても状況は変わりません。ブランドデザインは、しっかり設計された「競争軸」があってはじめてパワーを発揮するのです。

 

また、市場開拓をするためのプロモーションも、この「競争軸」を強化するように企画することで、市場で競争優位をどんどん高めていくことができるのです。

 

社長本人が、強い自社ブランドを生み出すためには「競争軸」の設計が必要だということに気づかないまま経営していると、現場で頑張っている社員の努力も報われません。残念ですが、本当によくあるケースです。

 

当社は、業種業界を問わず、この「競争軸」の設計を日々指導しています。

そして、「競争軸」の設計ノウハウを手にした会社とその後の成功を何度もみてきましたので、この重要性を多くの経営者に届けるべく活動しています。

 

もし、あなたが自社ブランドづくりを本気で成功させたいと思うなら、

まずは、「競争軸」を生み出すことに注力してください。

 

「競争軸」がないまま、自社ブランドづくりをしていませんか?

 

今一度、自社ブランドづくりについて考えるきっかけになりましたら幸いです。特にこれから新しいことに挑戦する社長に意識してもらいたいと思います。

 

追伸:

実際に、受託事業を脱却して自社商品づくりに成功している事例や、その他、当社のコンサルティングを受けて大きく売上をあげた、お悩み解決事例を多数公開しています。

経営者のインタビュー形式で、具体的な取り組み内容や、そのポイントをつかむことができます。

以下のサイトより、自由にご覧ください。

お悩み解決事例(お客様の声) (mr-m.co.jp)

 

 

株式会社ミスターマーケティング

 代表コンサルタント

                                                       村松 勝