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COLUMN 儲かる10億円ヒット商品・事業をつくる「カテゴリーキラー戦略」コラム

第117話 同質化から、いかに抜け出すか。

小売事業を営んでいるが、お客様の要望に従って売れ筋を並べていくと、正直、競合企業との違いが出しづらく、結果、価格競争に陥っています。何とか差別化を考えていきたいんですが・・・

と、先日、ある小売業の経営者の方から、現在の課題について相談がありました。


 

どの業界、業種においても、最初は、差別化できていると思っていた事業が、だんだんと競合が似たようなことをやり始めて、違いがわからなくなってしまうことがあります。

これを「同質化」と呼びます。

 

特に、力のある競合、業界におけるリーダー企業は、その資金力にものを言わせて、他社の差別化された事業や商品、サービスを模倣して、違いを無くしていく戦略、つまり「同質化戦略」を取ることがあります。

 

皆さんもご存じのように、ITのサービスでも何でも、先進的な技術が発表されるやいなや、他企業が、同じようなサービスを提供することを耳にしたことがあるでしょう。

最近であれば、OpenAI社がリリースしている対話型AI「ChatGPT」が、マイクロソフトの検索エンジン「Bing」に実装されると、それに対してグーグルが、「BARD」と呼ばれる対話型AIを検索エンジンに搭載すると発表しました。

また、Facebookも年内には、新しいAI技術をリリースすると発表しています。

 

このような先進的なサービスのみならず、歴史を振り返れば、例えば、小売業においても、百貨店、総合スーパー、食品スーパー、コンビニエンスストア、ドラッグストア、家電量販店などが、どこのお店に行っても、同じような品揃えで「同質化」していき、企業によってあまり大きな違いがないように感じます。

 

業界が成熟化すればするほど、この「同質化」してくるわけで、さらに言えば、過去たくさんの企業が参入していた市場も、やがて買収や撤退なども含めて、10社と満たない企業数に集約されていきます。

 

そして、多くの業界において、同じような品揃えになるので、「価格競争」がスタートすることになります。

なぜ同じような品揃えになるかと言うと、それは、POSデータなどにより、売れ筋商品が明確になり、それを置かなければ顧客のニーズに応えられない、となるわけです。

 

バイヤーや仕入れ担当者の立場からしても、競合店で売れているものを、自社の店舗に置いていないと、彼らへの評価の減点となり、結果、売れ筋を求めていくがあまり、新しい、チャレンジングな商品を仕入れるのは避けるようになります。

 

経営のトップがいくら差別化やイノベーション、競合店の違いを打ち出そうとメッセージを発しても、肝心の現場では、失敗したくないため、保守的な品揃えになっていくことは仕方のないことです。

 

そのため、経営者や経営幹部の意識が、競合と差別化していくことや、新しいチャレンジングなことに向かい、かつある程度の失敗を許容する風土を作りあげていかないと、残念ながら、現場からの何か目新しい提案や企画が上がってくることはほとんどないでしょう。

 

ではどのようにして、「同質化」による価格競争から抜け出すための、「差別化」を考えていけばいいのでしょうか。

 

それはつまり、当社で言うところの「カテゴリーキラー」を考えていくことになります。

「カテゴリーキラー」とは、競合他社を圧倒する差別化された強い商品・サービス・事業のこと言います。

ポイントは、必ずしも単品での商品を「カテゴリーキラー」にするということでなく、商品、商品群、店舗そのもの、事業そのもの、などを「カテゴリーキラー」化していくことです。

 

例えば、小売業であれば、いくつかの方向性がありますが、

 

1.品揃えする商品を単品、または商品群をカテゴリーキラー化する。

 

2.思い切って、競合が絞りきれないターゲットに絞り込んで、それに合わせた品揃えを行う。

 

3.ターゲットは絞りすぎずに、メインターゲットを定めて、店舗(または事業)そのものをカテゴリーキラー化して、独自性を打ち出す(モノ売りからコト売りに変える、など)。

 

などがあります。

 

例えば、「1.品揃えする商品を単品、または商品群をカテゴリーキラー化する」のわかりやすい例としては、コンビニエンスストアの取り組みが参考になります。

 

皆さんもご存じのようにコンビニエンスストアは、セブンイレブン、ローソン、ファミリーマート、の3つにおおよそ集約されてきました。

 

このほかにも、イオン系のミニストップ、山崎パン系のデイリーヤマザキ、北海道のセイコーマートなどがありますが、先の3つのコンビニエンスストアに比べれば、規模的には大きくありません。

 

さて、セブンイレブン、ローソン、ファミリーマートの3つに見るように、多少の品揃えの差こそあれ、家の近くにセブンイレブンがあるのに、わざわざ遠くにあるローソンまで何かを買いに行くということはあまりないと思います。

 

それでも行く理由があるとすれば、そのコンビニに、そこでしか買えない商品がある場合です。

最近、ファミリーマートのアパレルグッズ、例えば、ファミリーマート柄の靴下などが流行りました。その他にも、ファミチキなど唐揚げなども人気がありました。

 

先日330日の日経新聞夕刊で以下の記事がありましたので見てみましょう。


コンビニエンスストアに日々登場する、専門店顔負けのスイーツや総菜。ファミリーマートで集客の要となる商品開発をつかさどる商品本部長に島田奈奈さんが3月に就任した。

ときに社長以上の要職とも呼ばれる同職に女性が就くのはコンビニ大手で初めて。

洋生菓子や氷菓でヒットを生んだ手腕を買われた。

「競合が手掛けていないカテゴリーをつくり、看板商品を生み出す」のがモットーだ。

2000年に発売した常温の半生菓子シリーズ「アメリカンスイーツ」は、当時売り場で存在感がなかったスコーンやマフィンを改良。専用の売り場を設け、商品の納品箱をそのまま店頭の販促物として使えるようにしたところ、消費者の目を引き当該部門の売上高が4倍に増えた。その後もジェラートなどヒット商品を生みだした。


 

かつては、セブンイレブンが業界に先んじて、おにぎりやおでんなどをコンビニ惣菜の1つのカテゴリーとして生み出して、ヒットさせたり、近年では「金の食パン」も記憶に新しいのではないでしょうか。

 

また、「2.思い切って、競合が絞りきれないターゲットに絞り込んで、それに合わせた品揃えを行う」においては、ローソンが、「ナチュラルローソン」という都心部の女性にターゲットを絞ったコンビニの新業態を開発し、そのターゲットに合わせた品揃えを展開しています。

 

このように、コンビニという同質化の進む業態でも、いかにして差別化を生み出していくのか、様々な取り組みを行っているかがわかるかと思います。

 

当社のお客様でも、小売業ではありませんが、卸売業において差別化をつくり、成功した事例があります。

K社は、ある資材の卸売業で、この業界には誰もが知る、全国的な超巨大企業が君臨しています。そして、K社もまたこの競合企業との「同質化」に合い、価格競争が激化して、利益が出づらい状況でした。

 

この事例は、先に紹介した3つの方向性の中で、「3.ターゲットは絞りすぎずに、メインターゲットを定めて、店舗(または事業)そのものをカテゴリーキラー化して、独自性を打ち出す(モノ売りからコト売りに変える、など)」に当たるものになります。

 

小売業のみならず、卸売業もまた、顧客のニーズに従って、売れ筋の商品を品揃えしていくと、結果として同じような品揃えになり、他社との違いがほとんどわからなくなります。

 

例えば、食品業界の卸売業も例外なく、国分などの大企業に集約されていき、その差別化は、商品の品揃えの違いというよりも、小売業からすれば、どちらかというと物流や商流の効率化によって、その利便性を買っていると言えるでしょう。

 

卸売業が、似たような品揃えで、競合他社と競争していくことは当然、価格競争となり、粗利益率も下がるため、少しでも利益を上げるためには、基本的には業務コストの削減を目指しますので、結果として、物流や商流を効率化していくことになります。そして、そのことには、倉庫の整備など、設備投資がかかります。

 

しかし、その効率化の競争であれば、資本力のある大企業が生き残り、中小企業が勝てなくなっていくのは目に見えています。

このように中小企業もまた、商品の粗利益率を下げ、固定費をかけずに、業務を効率化することで、なんとか利益を捻出するしか、果たして方法がないのでしょうか?

 

同じような資材を販売しても、競合企業は、その企業規模から安く仕入れ、安く販売することができます。価格では勝てないわけです。

そのため、K社も差別化するために、自社オリジナル商品を開発して販売していましたが、それだけでは、差別化を生み出して、競合企業と大きな違いをつくり出すまでには、どうも至っていませんでした。

 

K社の、顧客への活動をつぶさに観察していくと、顧客のお困りごとに対して、無償でのサポートを行っていることがわかってきました。

それはもちろん、商品を販売するために、無償でのサポートを行っているわけですが、顧客においては、そのサポートに対して、あまり有り難みを感じていないわけです。

 

しかし、聞いていくと、そのサポートには顧客を助けるための膨大なノウハウが眠っていました。

 

そして、当社とのコンサルティングの中で、その膨大なノウハウを丹念に掘り起こし、明文化し、見える化していくことにしました。

 

その見える化されたノウハウを、さらに、顧客にとって価値のある、魅力的なノウハウとして表現し、顧客に、伝えていくことにしました。

 

そうなると、どうなったでしょうか。

 

顧客がそのノウハウの価値に気づき、有り難みを感じるようになったのです。

これまで同様、それらのノウハウは基本的に無償で提供するのですが、そのノウハウを知りたいがあまり、全国から顧客がK社に押し寄せ、結果として、値下げせずとも、喜んで商品を買ってくれるようになりました。

 

結果として、コンサルティングが終了したあと、過去最高業績を更新し続けています。

 

この取り組みこそ、「3.ターゲットは絞りすぎずに、メインターゲットを定めて、店舗(または事業)そのものをカテゴリーキラー化して、独自性を打ち出す(モノ売りからコト売りに変える、など)」における、卸売業としての「モノ売りからコト売りに変える」ことによって、卸売業そのものの事業を、カテゴリーキラー化した実例です。

 

もし、あなたの事業が、小売業、卸売業のみならず製造業であっても、競合他社との違いや差別化が見いだせず、同質化しているなかで、価格競争に陥っているようでしたら、今一度、この3つの方向性

 

1.品揃えする商品を単品、または商品群をカテゴリーキラー化する。

 

2.思い切って、競合が絞りきれないターゲットに絞り込んで、それに合わせた品揃えを行う。

 

3.ターゲットは絞りすぎずに、メインターゲットを定めて、店舗(または事業)そのものをカテゴリーキラー化して、独自性を打ち出す(モノ売りからコト売りに変える、など)。

 

も含めた検証を行って、次の新しい戦略を組み立てる「時」かもしれません。

 

ただ単に売り方などの工夫によって目先を変えるのではなく、5年、10年度成長し続ける成長戦略を描くことによって、安定した経営ができるようになるのではないでしょうか?

 

そして、1つ事実として言えることは、競合企業の参入や顧客ニーズの変化は、自社の変化を待ってくれません。自ら時代に先んじて「差別化」や新しいチャレンジに向かっていかないと、より良い変化が向こうから訪れることもありません。

 

つまり現状維持は、衰退へ向かっていくプロセスでもあるのです。

 

ぜひ、あなたの事業も、差別化や独自性を創り出して、「同質化」を抜け出し、価格競争を回避し、成長しつづける戦略「カテゴリーキラー戦略」をつくっていかれると良いと思います。

 

追伸

前述したように、もしあなたの事業が、小売業、卸売業のみならず製造業であっても、競合他社との違いや差別化が見いだせず、同質化しているなかで、価格競争など厳しい状況に陥っているようでしたら、次の新しい戦略を組み立てる「時」です。

 

何か先に進んでいないような「停滞感」を感じられているようでしたら、まずは、あなたの事業の解決の方向性を見出すために、問題・課題を明らかにしていくことを目的として、一度、当社のスポットコンサルティングをご活用下さい。

 

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株式会社ミスターマーケティング

代表コンサルタント

吉田 隆太