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COLUMN 儲かる10億円ヒット商品・事業をつくる「カテゴリーキラー戦略」コラム

第32話 これまでやらなかった事をやってみる。


 

「これまで順調に業績が伸びてきましたが、次の打ち手が見えてません。」

 

先日、ご相談に来られたある経営者の一言です。

 

※カテゴリーキラーとは、競合他社を圧倒する差別化された強い商品・サービス・事業のこと。


 

詳しく聞くと、苦労されながらも時流に乗り、社員にも恵まれ、デコボコはありながらも、振り返れば、右肩上がりに比較的順調に業績は伸びてきました。

 

それなりの年齢になり、次世代に引継ぐことを意識したとき、今のままでの事業の継続だけでは、数年後はある程度見えても、その先の成長に不安を抱えていました。

 

経営者の中には、目の前の業績に追われてご努力されている方も多い中で、ある意味で贅沢な悩みでもあります。

 

それでも、会社を、事業を、継続させたい、これまで育ててきた我が子のような会社を、自分が引退するときには、次の成長カーブをつくって、良い状態で譲りたい、という気持ちは、創業者であったり、また代々継がれてきた会社の経営者であればあるほど、強く持っているものです。

 

最近のご相談頂いている経営者や、実際に今コンサルティングを行っている会社でも、共通して、このような課題意識で来られる方が多く見受けられるようになりました。

 

このような危機意識を持つ背景としては、いくつかの要因が考えられますが、その一つには、これまでのやり方では通用しないのでは、と肌感覚で感じているからなのでしょう。

 

それは、時代の変化や競争のルールが変わりつつあることも挙げられます。

 

例えば、世の中では、AIが盛んに叫ばれるようになり、人々はAIと口にしているものの、その実態が正確につかず、得体のしれない何かが迫り来ることによって、人は恐怖を感じます。

 

どれだけの仕事がAIに奪われるのか、もはや経営でさえも、AIで良いのではないか、そんなこともささやき始められています。

 

アメリカの大手IT企業GAFA(Google、Apple、Facebook、Amazonの略)は各社、AIの研究に力を入れており、彼らの持つ情報そのものが資産となり、ビッグデータとなって活用されていることも、どこか薄ら寒い感じもします。

 

中でもAmazonは、アマゾン・エフェクト、と呼ばれるように、アマゾンの影響によって、アメリカでは数多の企業が倒産に追い込まれてきました。書店のボーダーズ、家電のラジオジャック、玩具のトイザラスなど、一世風靡した小売企業が軒並み、アマゾンの前に倒れてきました。(※2018年6月3日朝刊日本経済新聞参照)

 

そのアマゾンの破壊力を表す指数「デス・バイ・アマゾン」。

 

日本語では、「アマゾン恐怖銘柄指数」と呼ばれ、顧客の侵食が進む、アメリカでの百貨店や書店などの小売り関連企業60社の株価によって算出されるものです。

 

過去3年間で、この指数(60社の企業株価)は、3割程度下落しました。

 

その減少は、日本でも例外ではなくなりつつあります。日本の三越伊勢丹ホールディングスの株価は、約4割下がり、高島屋や大丸松坂屋百貨店を傘下に持つJ・フロントリテイリングも2割安になりました。

 

しかし、そのような環境下でも、株価を伸ばしている企業として、カタログ通販のベルーナやドンキホーテホールディングスが挙げられます。

 

ベルーナは、中高年層の女性から高品質・高単価の商品で支持を集め、3年で株価は2倍になりました。

 

また、ドンキホーテホールディングスは、多彩な品揃えや迷路のような売り場づくりによって、集客力の高さが評価され、株価が2割上昇しています。

 

AIやアマゾンなどの存在。このことは、時代の変化として受け止めながら、一体企業は、どのように対応していけば良いのでしょうか。

 

それは、1つには、その流れを真摯に受け止めて、流れに合わせることです。かつてインターネットが広がったときも、その流れをうまく組み入れた企業が成長していきました。

 

もう一つは、AIやアマゾンができないこと、やれないことを考えて突くことです。

 

上記のベルーナは、ネット販売よりも、まだカタログのほうが使いやすいと感じる顧客層が一定数いることに着目して、そこに合わせてきました。

 

また、ドンキホーテホールディングスは、リアルな売り場の現場で、ライブ感やお祭り感を演出することで、集客力を強化していきました。

 

では、冒頭の企業がつぶやかれたように、次の打ち手が見えないために、やるべきことは何でしょうか。

 

それは上記2つの視点の他、これまで自社がやらなかったことをやってみる、自社に足りないと思われることを積極的に取り入れてみること、さらには、顧客の声なき声に寄り添って観察し、その声をすくい上げていくことなど、これらのことを通じて、次の打ち手を考えていくことではないでしょうか。

 

この中で、これまで自社が取り組んでこなかったことで、何か取りかかれることがあるとしたら、何か思いつくことはありますか?

 

マーケティングやブランディング関連で考えれば、例えば、BtoB(Business to Business:企業間取引)の企業がBtoC(Business to Consumer:消費者向けビジネス)へのビジネス展開を考えてみる、デザインを経営に取り入れてみる、ウェブマーケティングに取り組んでみる、など、色々できることがあるかもしれません。

 

いったん視野を広げて、今、自社にとって必要な打ち手を探すことが大切です。

そのためには、情報収集は欠かせません。リスクを許容できる範囲でまずは、初動として実際に取り組んでみることも大切です。

 

当社のクライアントで、過去にインパクトのある成果をあげた企業を見ていきますと、以下のような視点で新しい事に取り組んで成果を上げた事例がございます。

 

  • 既存製品の「リブランディング」という視点

K社は、価格競争に陥っていた一般向けの既存製品を、新たにブランディングという視点を取り入れることで、売上げをV字回復させ、好業績となりました。その後、自社製品のブランディングのコツをつかみ、会社規模を大きく拡大させました。

 

  • 市場分析を踏まえた「新商品開発」という視点

N社は、これまで感覚に頼った新商品開発をしてきましたが、市場環境をしっかりと分析した商品開発に挑戦しました。結果として、発売前に予約完売する好スタートを切り、近年にない、販売数を達成できました。

 

  • 「展示会」の有効活用という視点

S社は、新規販路開拓のために、展示会マーケティングに初めて取り組み、大口の見込み客を大量獲得し、大きな売上げにつなげる仕組みをつくりました。今では、定番の施策となり、毎年順調に売上げを拡大しています。

 

  • 新たな「プロモーション開発」という視点

N社は、同業界に例がない新規客開拓のプロモーションを開発して、短期間で数千件の見込客を一気に集客しました。そこから製品の販売につなげ、客数・客単価を大きく引き上げました。数年後には、同業界で有名なプロモーションとなり、知名度を上げていきました。

 

  • CRM」という視点

ネット通販を長らく行ってきたH社は、見込客から顧客へと引き上げ、さらには、リピートしてもらうための仕組み作りCRM(Customer Relationship Management)に取り組み、1年後の定期会員の継続率は2倍まで達しました。

 

  • シナジーを生む「新規事業開発」という視点

M社は、長年店舗サービスを提供してきたが、自社の強みが活きる新規事業として、新しい店舗サービスの展開を綿密に企画、実行しました。出店する店舗の会員は、いずれもすぐに満員となり、わずか2年で複数店舗を展開する事業に成長しました。

 

  • 「営業力強化」という視点

Y社は、営業部のスキルアップのために、マーケティング思考ができる人材の育成を目指しました。毎年テーマを決めて、実践の繰り返しを実行したところ、大きく業績を上げられるチームに成長しました。

 

これまで自らの視覚に入らなかったものをあえて取り入れてみる、また、違う視点で、自社を眺めてみることが大切です。

 

世の中の変化がますます早くなる中、これまでの経営スタイルで、同じ事をそのまま続けていきますか?

 

それとも、一歩踏み出して、これまで取り組んでこなかったことに挑戦しますか?

 

 

株式会社ミスターマーケティング

代表コンサルタント

吉田 隆太

 

【追伸】

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