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今一度思う、値付けの難しさのこと、ユニクロの事例から。

外貨コイン

ユニクロが苦境にあえいでいる。

今期も減収となりそうである。

いくつかの要因があるかと思うのだが、その一つとして、

過去2回の値上げによる顧客離れが原因という。

資材や中国での生産による人件費の高騰によって、

仕入れ価格が上昇し価格を上げたと言われている。

しかし、もともと大量生産大量販売というビジネスモデルで成長してきたユニクロに対して、割高感を消費者は感じてしまっているのだということだが、おそらく景気回復局面において消費者の購買力も上がり、それに乗じて値上げを行うことによって、購買力は落ちずにいくものだと予測したのではないかと考えられる。

しかし、ファストファッションというビジネスモデルにおいて、ZARA、FOREVER21、H&M、またユニクロのグループ会社であるGUとも競合する中で、ユニクロの低価格で品質は良いというイメージが浸透しており、やはり割高感を敏感に消費者は感じてしまうのだろう。

またイトーヨーカ堂やイオンなどのGMSも、ユニクロに追随して、割安感があり機能性の高い衣料品を投入している背景もあるのだろう。

かつて、京セラの名誉会長で、JALを再生した稲盛和夫氏は、「経営の死命を決するのは値決めである」と語っている。

それほどまでに、値決め、価格を設定するということは、難しいのである。

ぜひ本屋に足を運んでほしい。マーケティング関連著書の中で、プロモーションなどは多くの本が売られているが、値決めや価格設定について論じられた本はほとんど見かけないだろう。

一部、マッキンゼーなどがプライシングという本を出しているが、中堅・中小企業においてわかりやすく使えるような内容とは必ずしも言えない。

先日、世界的に有名なプライシングを中心としたマーケティングコンサルティング会社のディレクターにそのあたりの事情を聞いたことがあるが、実は、価格設定において、良書はないという。また決定的な値決めの方法もなく、さらに研究者や学者でも値決めの領域を研究している人は少ないという。

しかし、マーケティングにおいて値決めをしない会社はもちろん、ない。

どんな会社でも、日々行わなければいけないし、値決めによって、利益へのインパクトが大きく変動するにもかかわらず、割合安易に決定しているケースもある。

値決めの決定的な方法はないものの、4つの観点から検討する方法はある。それでもそれが決定打とはいえない。

しかしマーケティングが、成果の確率を上げていく手段である以上、値決めもいかにそれらの観点や情報から仮説を立てて、

最適な価格を導き出す努力が大切だと考えられる。

ユニクロは、結局、値下げを断行した。

消費者は果たして戻るのか。今後の行方が気になるところである。