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COLUMN 儲かる10億円ヒット商品・事業をつくる「カテゴリーキラー戦略」コラム

第109話 「想い」と「戦略」の一貫性

業績が右肩下がりとなり、このままいくと、非常に厳しい状況になりそうです。なんとかここから回復していきたいと考えています。

 先日、ある経営者からご相談がありました。

 

※「カテゴリーキラー」とは、競合他社を圧倒する差別化された強い商品・サービス・事業のこと。


 

この経営者は、これまでの事業が厳しくなってきたことから、「思い」も新たに、新しい事業をスタートしたのはよかったのですが、ここ数ヶ月、その新事業も厳しくなり、何とか打開策を考えたいということで、ご相談に来られました。

 

聞き進めていくと、その新しい事業は、ある地方で展開している企業のコンセプトを参考にしながら、自社でも、その要素を取り入れてスタートしたとのことです。

 

その地方で展開している企業の経営者とも仲良くなって、アドバイスを受けたものの、実際には、事業として成り立っていくためには、相当な時間がかかると、釘を刺されていたようです。

 

しかし、何とかなるだろうと、これまで行ってきた既存事業から大幅にコンセプトを変更して、新事業を始めました。

 

しかし、アドバイスをくれた企業の経営者の予言通り、新事業がスタートしたものの、なかなか黒字にならずに、固定費ばかりが垂れ流されてしまっている状況とのことでした。

 

これではいけないと、その新事業のコンセプトの要素に、もともと行っていた事業の要素を取り入れたり、また、集客を一生懸命やってみたりしたものの、状況は変わらず、ますます厳しくなってきてしまっているとのことでした。

 

もともと、新しい事業のコンセプトを広げていきたいという「思い」はあったものの、売上が厳しい中で、その「思い」をよそに、戦略面や戦術面で、ちぐはぐな要素を展開していってしまい、ますます何をしようとしていた事業だったのか、もはやスタート時点でのコンセプトがぶれてきてしまっているようでした。

 

そんなときに、当社のことを知り、ご相談に来られました。

 

厳しいことは、すでに数字が物語っていたのですが、話を聞いていく中で、何よりも、お客様に対して、その事業自体、何屋なのか、何をやろうとしている事業なのか、コンセプトそのものがぶれてしまっていることが、よくわかりました。

 

どうしても売上が下降してくると、売上獲得に走ってしまいがちです。その結果、本来やろうとしていたことからずれてしまったり、お客様不在の、自社に都合の良いことをやってしまいがちになります。

 

そんなときにはどうしたら良いのでしょうか。

 

そんなときは、やはり、改めて、ご自身や自社の「想い」を見つめ直すところからスタートすることが大切です。

 

なぜなら、その「想い」は、戦略や戦術などの上位概念だからです。

 

企業は、まず企業目的(当社で言うところの「想い」)があって、その存在がスタートします。

 

何のための企業か、何のために、自社は存在するのか。

 

昨今では、「パーパス(目的)経営」とも呼ばれますが、従来から、理念経営であったり、ビジョナリーカンパニーであったり、その重要性が説かれてきたのはご存じの通りです。

 

そして、その企業目的=「想い」を実現していくために、「戦略」によって具体的に実行していくためのプランを立て、「組織」として、それを実際に具現化するための活動をしていくのです。

 

これが、まさにタイトルにもある「『想い』と『戦略 』の一貫性」が大切である所以です。

 

このように考えていくと、「想い」が定まっていない中で、いくら、戦略を組み立て、組織に活動を促しても、何のために、それ(戦略)をするのか、が明確では無いために、組織の一員としての社員が、作業としては実行できても、やらされ感のように、活気を持って仕事することにはつながりません。

 

まさにことわざにもあるように、「仏作って、魂入れず」ということになるのでしょう。

※「仏作って、魂入れず」とは、せっかく仏像を制作しても、その仏に魂を入れなくては、ただの木や土や石にすぎない。もっとも大事なことを、おろそかにすることをいう。

 

そのためにも、経営者自らが、改めて自らを見つめ直し、素直に、自分の中から湧き出る、本当にこうしたいという「想い」を明確にしていくことが大事になるのです。

 

かつて、当社のクライアントである、ある家電メーカーの経営者も、コンサルティングがスタートした当時、その「想い」がぶれてしまって、本業のカテゴリーの製品ではなく、新しいカテゴリーの製品をつくりたいと考えていました。

 

しかし、三代目である、その経営者は、これまで祖父と父が費やしてきた、何十年もの本業の歴史を途絶えさせることもまた、躊躇しているようでした。

 

そこで、

 

「改めて次回までの1ヶ月間、ご自身の想いを見つめ直して、考えてきてみませんか?」とお伝えして、次の回を迎えることになったのです。

 

その回で、その経営者は、

 

「あれから、会社に戻り、私自身も考えながら、一緒に経営している弟とも、それこそ、夜な夜な何度も話しました。何度も話す中で、やはり、もう一度、その本業であるカテゴリーの製品で、もう一度、勝負したい、そして、その製品を一家に一台、行き渡らせたい」

 

という「想い」を語ってくれました。

 

この言葉に、我々も、突き動かされるものがありました。

 

そして、そのビジョンを一緒に実現したい、という「想い」を我々も抱くような、伝わってくるものがありました。

 

経営者が、本気で湧き出るようにして出てきた言葉というものは、どこかしら、エネルギーを感じるものです。

心が動くような感じがするのです。

 

一方で、我々がつくりましょう、と言われたから、つくってきた「想い」や、言葉だけの字面をきれいにしたものを「想い」として、つくってくる方もいます。

 

聞いても、それらしい、ビジョンやミッションなどの「想い」のような体裁にはなっているのですが、どこか伝わってくるように感じません。

 

また、その「想い」を論理的に説明されても、それもまた、何か、どこかの誰かの言葉のように感じてしまい、それもまた聞いていると、上っ面のような感じがすることもあります。

 

実は、それこそが、「想い」ではなく「思い」と呼ぶものです。

 

「思い」がどちらかというと、左脳的な頭で考えたもの、に対して、「想い」とは、右脳的な心から湧き出るようなもの、という違いがあります。

 

冒頭の経営者で語られたなかで、文章中に「思い」という文字を使っているのは、その新事業のコンセプトを「考えて」実行されているものの、どうしてもその事業コンセプトを実現したいという「想い」が、あまり伝わってこず、売上も厳しいことから、なんとかしたい、という「戦略」面や「戦術」面の話に終始してしまっていたからです。

 

非常に不思議なのですが、その「想い」は、我々も含めて、他者が聞いて「感じられるもの」なのだと思います。

 

社員やお客様も、同様に、「感じられるもの」として、伝わっていくようにも思います。

 

その「感じられたもの」を、社員は、お客様に対して一生懸命行動し、お客様もそれを感じて、購買行動というものにつながっていくのだと思います。

 

と、頭でわかっていても、売上数字という現実を目の当たりにすると、焦っていく気持ちが出てくるのは誰しもあります。

 

しかし、急がば回れで、「想い」から見つめ直すことで、良い「戦略」が生まれ、その「想い」に共感した社員が、「組織」として活気を持って実行していくことで、活路は見出されるのではないでしょうか。

 

「もう一度、その本業であるカテゴリーの製品で、もう一度、勝負したい、そして、その製品を一家に一台、行き渡らせたい」

 

と「想い」を語ってくれた家電メーカーの経営者は、その後、開発した新製品を発売した結果、他の自社製品も売れに売れて、わずか1年で年商が、2.5倍にもなりました。

 

この家電メーカーの経営者のまさに「想い」が、「感じられもの」として、消費者に伝わり、購買行動につながったのではないでしょうか。

そして、もちろん、「想い」を実現するための「戦略」が重要なことは言うまでもありません。

 

まさに、「『想い』と『戦略』の一貫性」が、素晴らしい成果を生み出していくのです。

 

今一度、ご自身の、経営者としての「想い」を明確にして、「戦略」を描いていきませんか?

 

追伸

本コラムで、お伝えした、「『想い』と『戦略』の一貫性」については、当社の、カテゴリーキラーの作り方セミナーで、事例を通じて詳しくお伝えしています。

 

1つの川の流れのように、川上から川下へと、上流工程(「想い」)がうまく流れてこそ、その後の工程(「戦略」)もまた流れがよりよくなります。

 

今一度、川上から川下まで川の流れの全体を見渡すことによって、どこで川の流れが滞っていたのかも、よくわかるようになります。

 

次回のセミナーは、9月20日火曜日にあります。

秋も始まる、この時期だからこそ、新たな戦略を考えていきたい方は、一度、セミナーにご参加ください。

セミナーについての詳細は以下のサイトにてご確認ください。

セミナーについての詳細はこちら

 

株式会社ミスターマーケティング

代表コンサルタント

吉田 隆太