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COLUMN 儲かる10億円ヒット商品・事業をつくる「カテゴリーキラー戦略」コラム

第110話 店舗サービス業が、経営をV字回復させるために必要なこと

「競合企業が近隣に出店してきて、売上が大きく落ち込み、お店の経営が厳しくなってしまいました。どうしたらよいでしょうか?」

 

※「カテゴリーキラー」とは、競合他社を圧倒する差別化された強い商品・サービス・事業のこと。


 

冒頭の相談は、店舗サービス業の経営者からの相談です。コロナ禍に入ってから、何社か店舗サービス系の経営者から相談を受けてきました。

店舗サービス業といっても、様々な業種がありますが、コロナ前も含めて、これまでに当社で相談を受けた主な店舗サービス系の業種は、飲食店、歯科医院、内科医院、美容店、エステ店、整体・マッサージ店、遊戯店、雑貨販売店、書店、スーパーマーケット、惣菜店、ドラッグストアなど多岐にわたります。

店舗サービス業は、コロナの影響で経営が厳しくなった会社は少なくありませんが、コロナ禍でなくても、厳しい経営状況に追い込まれることがあります。

それは、店舗サービス業にとって、大きな脅威となる競合店の進出です。

 

大量出店するような大手企業と違い、店舗サービス系の中小企業は、競合店が出てきたからといって、すぐに見切りをつけて撤退したり、別の場所に移転したりすることは、簡単にはできません。

多くの場合、厳しい経営状況でもギリギリのところまで、必死に頑張って、なんとか現在の店舗を存続させようとします。

 

当社のこれまでの経験で、競合店舗の進出によって、ギリギリまで追い込まれた経営状態でコンサルティングを受けられた店舗サービス系の会社が数社ありますが、いずれの会社も、経営危機を脱して、V字回復をしています。

(許可を得ている会社の事例は、当社サイトにもいくつか掲載しています。興味がある方は、サイト内の「お悩み解決事例」から詳細をお読みください。)

 

では、ギリギリのところまで追い詰められた店舗サービス系の会社が何をやったのかといえば、「販売促進や集客プロモーションに頼る前に、徹底的なエリア分析に基づいて差別化を検証し、店舗サービスそのものを、カテゴリーキラー事業に変えた」ということです。

※カテゴリーキラーとは、競合他社を圧倒する差別化された、強い商品・サービス・事業のこと。

 

もちろん、カテゴリーキラーを生み出すことは、容易ではありません。しかし、急がば回れという言葉の通り、いろいろと手を出すのではなく、一点集中して、カテゴリーキラーを生み出すことが結果として、近道になるのです。

 

現在も、いくつかの店舗サービス系の会社の経営者から相談を受けておりますが、皆さんにそうお伝えしています。

 

経営が厳しくなると、経営者は現状打破のために、様々な打開策を検討します。そのカードは一つではないので、何から手をつけたらよいか自信をもてないまま、とにかく、どんどんやってみようという思考になります。

 

このときに、一番多いことが、とにかく、お客様を呼び込むために、あの手この手と集客に力を入れることです。そして、自らの商品やサービスを安売りして、チラシをまいたり、DMを送ったりして、なんとか客数を増やそうと努力します。

 

安売りで集客していくことは、根本的な解決になりません。

根本的な問題は、競合店の進出によって、お客様を奪われていることです。ですから、一時的に安売りでお客様を呼び戻せとしても、少しほっとした気持ちになるだけで、じわじわと体力を奪われて、疲弊していきます。

 

一日も早く、根本的な問題に正面から向き合い、徹底的なエリア分析に基づいて差別化を検証し、店舗サービスそのものを、カテゴリーキラー事業に変えていく必要があるのです。

 

これまで、一番厳しかった店舗サービス系の会社のコンサルティングと言えば、あるレストランのケースです。そのレストランの経営者が、当社に相談に来られたとき、こう言われました。

 

「昼間のランチは、それなりにお客様が入るのですが、ランチの営業だけでは、まともな売上になりません。夜の営業で売上が上がらないと、この店はもう継続できません。最大に継続できたとしてもあと半年が限界です。」

 

そして、このレストランの経営者が、その時点で何を考えていたかといえば、やはり、集客の施策です。社員と一緒に様々な案を考えているということでしたので、いくつかのアイデアを聞きましたが、すべて、集客の案でした。

 

私は、はっきりと伝えました。

「このお店の現在の課題は、集客ではありません。お店そのものが、競合の魅力に負けていることです。つまり、お店がカテゴリーキラーになっていないことが最大の問題です。一緒にカテゴリーキラーを考えていきましょう。」

 

そのレストランの経営者は、これが最後のチャンスと言って、当社と一緒にカテゴリーキラーをつくることになりました。

 

そのときに行ったことと言えば、先に述べたように、「徹底的なエリア分析に基づいて差別化を検証した」ということです。

 

これまで見聞きした、店舗サービスを経営している方の失敗例で、

 

  • これまでにない新しいコンセプトのお店を出したが全く人が来ず半年で倒産した
  • 集客が厳しくなり、お店のコンセプトを変えたが、前より経営が悪化してしまった

 

という話がたびたびあります。

 

これらの失敗の大きな原因は、「徹底的なエリア分析に基づいた差別化を検証せずに、お店のコンセプトをつくった」ということです。

なんとなく思いつきで、コンセプトを考えて「これでイケル!」と、直感のみで突き進んでしまうケースです。

 

「これでイケル!」という考え自体は、ひとつの仮説としては、決して悪くありませんが、その仮説をもとに、徹底的なエリア分析に基づいた差別化を検証する必要があるのです。もっといえば、「これでイケル!」と思われる仮説は、ひとつではなく、いくつも出したうえで、検証していくことも大切です。

 

この点について、レストランの経営者には十分理解していただき、お客様のニーズや、競合店の情報などをしっかりと分析して、カテゴリーキラーづくりを進めました。

 

カテゴリーキラーをつくる際には、商品なり、サービスなり、なんらか尖ったものをつくっていきます。

このレストランのケースでは、仕入れに強みのあった、ある食材に着目しました。そして、その食材が最大限に活かされ、競合になく、お客様に喜んで頂けるメニューを開発し、カテゴリーキラーとして打ち出していくことになりました。

 

カテゴリーキラーが出来上がり、新たにお店の営業をスタートして、2週間ほどしたところで、そのレストランの経営者から電話が入りました。

 

「驚きました!夜の営業で、お客さんがどんどん入ってきています。この調子でいけば、レストランの経営は続けられます!本当にありがとうございました!」

 

非常に喜ばれたご様子で、その後も順調にお客様が増えていき、夜の営業も理想的な経営状態になりました。それから数年が経過しますが、現在も事業を継続されています。

 

 

もし、このコラムをお読みのあなたが、店舗サービス系の経営者で、同じように苦境に立たされているとすれば、問題の根本原因から目をそらさず、いち早くカテゴリーキラーづくりに力をいれるべきです。

 

その際には、再三お伝えしている通り、徹底的なエリア分析に基づいて差別化を検証することがポイントです。

 

中小企業で、資金や人財など経営資源が潤沢にある会社は少数です。

ですから、テコ入れする順番を誤ったり、間違った投資は、大切なお金と時間を失い、経営をより悪化させます。

 

勝負をかけなければならない時は、焦っていろんなことに手を出すのではなく、しっかりと戦略をつくり込み、しかるべき投資をするということが大切です。

 

「絶対に乗り切って、経営を存続させたい!」という強い想いがあれば、必ずチャンスはあります。しかし、間違った考えのまま行動していてもよい結果は訪れません。

                                                                    

店舗経営の根本的な問題に、正面から向き合っていますか?

 

このことを、真剣に考えてほしいと思います。

 

 

追伸:

今回は、店舗サービス系のことについて書きましたが、徹底的な市場分析に基づいて差別化を検証するということは、業種が変わっても同じく重要です。

当社では、店舗サービス系以外にも、多くの業種から日々相談を受けて、カテゴリーキラーづくりをお手伝いしています。

カテゴリーキラーづくりのプロセスを学び、実践したいという方は、一度、当社のセミナーにご参加ください。具体的な取り組み内容を丁寧にお伝えしています。

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株式会社ミスターマーケティング

代表コンサルタント

村松 勝