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COLUMN 儲かる10億円ヒット商品・事業をつくる「カテゴリーキラー戦略」コラム

第98話 事業承継に欠かせない、受託メーカーの「自社ブランド」づくりとは?

「今のままの差別化が弱い受託事業を続けていても、じり貧になることは目に見えています。次の後継者が、誇りをもてるような、自社ブランドをつくっていきたいです。」

 

※「カテゴリーキラー」とは、競合他社を圧倒する差別化された強い商品・サービス・事業のこと。


冒頭のコメントは、先日当社にご相談に来られたメーカー経営者のコメントです。

 

同社は、既に当社のコンサルティングを受けられていて、現在の受託事業を特定業界に絞り込んだ「カテゴリーキラー事業」を展開しています。

少しずつ成果につながってきているものの、さらに踏み込んだ挑戦をしたいということでご相談に来られました。

 

というのも、ご自身も長く経営を続けていて、そろそろ、10年ぐらい先の事業承継も意識していかないといけない年齢にさしかかっているということでした。

 

当社にご相談に来られる経営者で、事業承継を意識している方は少なくありません。

そのような経営者は、目先の売上だけなく、今働いている若いスタッフの将来や、次の経営陣に良い状態でバトンを渡したいと常に考えています。

長年の経験で、現状維持は衰退を意味することは、十分に分かっていますから、本腰を入れて次の一手を考えています。

 

そして、同社のさらに踏み込んだ挑戦というのは、「自社ブランド」を持つことでした。

ここでいう「自社ブランド」とは、自社独自のブランド名で展開する商品・サービスや事業を意味します。

お客様から、価値の高い商品や事業として見られ、指名買いされるようなものです。

また、例えばウェブサイトにおいても、固有名詞によって検索されるようなものでもあります。

 

メーカーの商品としては、BtoC向けであれば、食品、日用品、家電、衣類など、多くの一般消費者に知られる商品がブランドになっています。

 

また、BtoB向けでは、特定の業界では、知る人ぞ知る特殊な素材であったり、何かをつくるときに必要不可欠な部材がブランドになっていることもあります。

さらに、何かの製造を受託している工場に特殊な技術や生産体制があり、それがブランドになっていることもあります。

 

このコラムを読まれているあなたの業界内でも、価格競争に巻き込まれずに、利益率が高い商売をされている会社はないですか?

そういう会社は、なんらかの形で「自社ブランド」を持っています。

 

当社がコンサルティングで提供している「カテゴリーキラー戦略」は、この「自社ブランド」づくりに直結する戦略です。そして、最高の「自社ブランド」は、お客様に「売ってください」と言わせてしまう力がある商品・サービスや事業です。

 

当社がこれまで300社以上の企業と関わるなかで、非常にうまく事業承継ができている会社は、この「自社ブランド」を持つ意識がとても高く、当社の指導を最大限に活かして、日々「自社ブランド」の価値を高める努力をしています。

 

次世代への事業承継を、確かなものにしていくための分かりやすい目標のひとつが、「自社ブランド」を残すことなのです。

 

本コラムでは、受託メーカーの事業承継に必要な、「自社ブランド」づくりについて、お伝えしたいと思います。

 

なぜ、受託メーカーの事業承継に「自社ブランド」を残していくことが必要なのかと言えば、大きく2つの理由があります。

 

1つ目の理由は、「自社ブランド」は利益をもたらすからです。

 

日本には、メーカー企業が60万社あるといわれていますが、その多くが、クライアント企業の受託でものづくりをしています。

 

受託でものづくりをするメリットは、まとまった数が見込めたり、定期的な受注が見込めたりするため、経営が安定することが挙げられます。

一方で、デメリットとしては、同じように製造ができる競合企業があれば、価格競争に巻き込まれていく宿命にあります。

 

これを回避するためには、受託事業そのものを戦略的に差別化していく必要があります。品質の向上、納期の短縮、価格の低減など、クライアント企業の要望を一生懸命に聞いているだけでは、一時的に喜ばれて関係性は深まるものの、競合も同じような方向で競争していれば、どんどん価格競争が厳しくなっていきます。

 

このような競争の先に、幸せな未来はないというのが、ビジネス界の常識ではあるものの、どうしても目先の顧客要望に振り回され、日々を過ごしてしまうというのが多くの受託メーカーの現状です。

 

しかし、この状況を脱して、大きく成長していく受託メーカーは、どこかで勝負の一手を打っているものです。

 

その勝負の一手で重要なことが、「自社ブランド」を持つことです。

 

「自社ブランド」は、競合他社を圧倒する差別化の設計をベースに戦略をつくりこみます。その差別化は、会社によっては、もともと内在していて、あまり意識されていない場合もあります。その場合は、その部分を突出させた戦略をつくっていきます。

 

また、競合と比較したときに、どうしてもインパクトがあり優位性をもたらすような違いが見出せない場合もあります。

そういうケースでは、できるだけ現在の強みを活かすことや、これから育てていく強みを見定めながら、長期で積み上げていく戦略をつくります。

 

いずれにしても、年月を積み重ねるほど、差別化の色合いが濃くなって、競合他社との差を引き離していくイメージがもてる戦略を設計して「自社ブランド」づくりをします。

これが、年数を重ねていくと、大きな差になっていき、価格競争に巻き込まれない状況を実現します。しっかりと利益を出せる会社になります

 

いつも、目先の売上ばかりを追いかけているのと、将来に向けて「自社ブランド」を確立していこうとするのでは、長期視点で大きく差が出るのです。

 

長期で積み重ねられた差別化は、一朝一夕には真似されない安定感が出ますし、逆をいえば、いつも目先の売上に追い回されている経営は、いずれ限界に達してしまいます。

しっかり、腰を据えて「自社ブランド」を確立するための戦略をつくる必要があります。

 

このことに気づいていない、もしくは気づいていても、今は大丈夫ということで行動しない経営者も多いですが、そのまま何もしなければ、まさに、次の世代に大きな課題を残して引退ということになりかねません。

 

せっかく親族や信頼できる社員が継承してくれたとしても、大きすぎる課題をバトンタッチするようなもので、心から安心できることはないでしょう。

 

 

2つ目の理由は、「自社ブランド」が誇りになるからです。

 

あまり競合と差がない受託事業を展開していると、どうしても価格以外に勝負のポイントを見出せなってきます。そうすると、「安くしてくれないなら他に頼むよ」という嫌な圧力を常に受けることになります。この状況が年々高まってくると、当然利益が出にくくなっていきます。

 

連動して、給与も上げていくことは難しく、逆にカットしていかざるを得ない状況に追い込まれていきます。働いている社員もどんどん疲弊していきます。

この負のスパイラルを断ち切っていくために、しっかり利益をもたらしてくれる「自社ブランド」がどうしても必要になります。

 

過去14年間、300社を超えるコンサルティング活動で、当社の指導を受けて、しっかりと「自社ブランド」を持った受託メーカーが自信を取り戻し、躍進していったケースをたくさん見てきました。

 

既存商品をテコ入れすることで「自社ブランド」として売れるようになったり、事業そのものが「自社ブランド」として、ぐんぐん伸びていくようなケースです。

こうなると、いい意味で働いている人の目つきが変わります。発言や行動も前向きになり好循環になっていきます。

 

そういう会社は、まず業界メディアに注目されます。次に、一般の新聞やテレビなどのマスメディアに広がっていくケースも少なくありません。

こうして、「自社ブランド」は、売上を伴い成長していき、経営者のみならず、現場で働いている社員の誇りになっていきます。

 

「自社ブランド」が確立されていき、社員が誇りをもつようになると、これまで価格競争にさらされて、どこか自信がなさそうだった営業マンは過去のものとなり、胸をはって、自社商品をセールスできるようになります。

当然ですが、こうなると理想的な社員も入社してくる流れができます。

 

 

今後、どのようなカタチで「自社ブランド」をカタチにしていくかは、特に決まりはありません。置かれている状況によって、柔軟に考えていくことが可能です。

 

とはいえ、これまでの当社のコンサルティング経験で、いくつかのパターンがあるので、受託メーカーが「自社ブランド」を持って躍進していったケースを3事例ほど紹介したいと思います。

 

  • 「受託事業」と「自社ブランド」商品の‟バランス型”

 

1つ目の事例は、「受託事業」と「自社ブランド」商品をバランスよく展開していく取り組みです。

 

ある金型メーカーは、長年受託製造をメインにしていましたが、当て馬のような見積依頼が多く、この状況を脱却したいと本気で考えました。そこで、まず「受託事業」そのものを「自社ブランド」として確立する取り組みをしました。

すると、ホームページからの問い合わせが増えるばかりでなく、当て馬のような見積が減り、真剣に相談したい、といった問い合わせが増えていったため、比較的事業が楽になっていきました。

 

次に、打ち手を止めず、BtoC向けの「自社ブランド」商品づくりに挑戦しました。ここでも当社の指導を最大限に活かし、初回からヒット商品を生み出しました。ある雑貨商品をつくったのですが、世界40か国以上で売れる人気商品となり、多数のメディアで取り上げられ注目を浴びました。

さらに、2つめ、3つめと手を止めず、「自社ブランド」商品づくりに挑戦した結果、業界内外から注目されるものづくり企業として成長しました。

 

同社は、そもそも受託事業を脱却しようとしているのではなく、しっかり利益がとれる事業にしたいと考えておりました。そのためのポイントは、ものづくりを下流で相談されるのではなく、企画段階の上流から相談される会社になることでした。「自社ブランド」商品も、この流れをつくるひとつの手段として考えていたのです。

 

現在は、「自社ブランド」商品だけでなく、会社そのものも注目され、テレビ、新聞などマスメディアからひっぱりだこの会社となっています。社長は、ものづくり業界では有名人です。

 

そして、ものづくりのセンスがある同社と一緒に仕事をしたいという会社からの‟引き合いが、ホームページ経由で毎日くる”という状況になっています。まさに、上流の仕事で追われる毎日が実現しています。

 

このように、「自社ブランド」商品が呼び水となって、受託事業も売上が上がるというバランスがよい経営を実現しています。

現在は、海外にも支社を持ち、さらなる挑戦をされています。

 

 

  • 「受託事業」に見切りをつけた‟脱却型”

 

2つ目の事例は、受託事業に未来はないと考えて、これを脱却しようとするケースです。

 

直近の例では、何度かコラムでも紹介している家電メーカーの事例があります。

同社は、長らく家電の製造を受託することが売上の柱となっていました。しかし、年々価格競争が厳しくなり利益がほとんど出ないような体質になっていました。

 

ここを脱却していくためには、「自社ブランド」商品を成功させるしか道はないと、退路を断つ思いで、当社のコンサルティングを最大限に活かして、本気で取り組んだ結果、現在は「自社ブランド」商品の製造が8割を超える経営を実現しています。

年商も3倍近くになり、コンサルティングを受けてから2年ほどで、このような大きな成果を生み出しています。

 

しかも、主要販路の家電小売り流通も「自社ブランド」の価値を高める売り方をしてもらえない傾向が強いため、自社通販に挑戦しました。その結果、楽天の家電部門はもちろん、全商品を含めた楽天総合ランキングで1位を獲得するなど、業界内外から注目される「自社ブランド」商品となりました。

 

利益率は25倍以上に増え、財務体質が大幅に改善されています。その取り組みは、著名なビジネス誌で12ページにわたり特集されたり、テレビ番組でドラマ化されるなど、「自社ブランド」商品とともに、会社も大きな評価を受けています。

 

おそらく、この先も受託製造に頼らずに、「自社ブランド」を高めていく道を徹底して追及されていくと思います。

 

 

  • 「受託事業」の利益を最大化していく‟特化型”

 

3つ目の事例は、「受託事業」そのものを、ブランド化する「自社ブランド」事業の取り組みです。

 

ここでは、最新の事例として、食品メーカーの例をご紹介したいと思います。

同社は、創業130年以上の老舗の企業です。過去は、食品卸売が中心の事業でしたが、現社長が30代で、突然経営を引き継ぐことになったときに、会社の未来を真剣に考えました。

 

そして、卸売事業には未来がないと決断して、メーカーに転身するという大きな決断をしました。そこから30年以上が経過していますが、今では、最新の技術と生産体制を持つ、すばらしい工場になっています。

 

当社がお手伝いすることになったのは、世代交代を見据えて、今の組織を強化する取り組みでした。具体的には、社員を巻き込みながら「自社ブランド」事業づくりをすること、そして、その「自社ブランド」事業を広げていくための営業強化でした。

 

同社は、すばらしい工場を持っていたものの、その良さが外にうまく伝わらないばかりか、営業マンもその良さを十分に理解できていませんでした。もちろん、社長と営業部の責任者は理解できていたのですが、自社事業の良さがうまく表現できていなかったのです。

 

これは、本当に大きな機会損失になっています。日本には、素晴らしい技術をもつメーカー企業がたくさん埋もれています。その問題を一言でいえば、ブランディングができていないということになります。

 

こういうケースでは、自社の受託事業そのものをブランディングしていきます。こうすることで、どこにでもありそうなメーカーの印象が、ガラリと変わり、突出した存在として認識されるようになります。つまり、「自社ブランド」事業となるのです。

 

同社のコンサルティングは、「自社ブランド」事業の戦略づくりにはじまり、それを表現するパンフレット、ホームページの刷新などのツールを整備しました。

さらに、そこから営業体制の強化にも取り組んだため、3年ほどの長期間のプロジェクトとなりました。

 

営業体制の強化は、この「自社ブランド」事業をいかにして、一人一人の営業マンが、お客様に伝えし、新規の受注がとれるようになるための個別の指導です。実際は、とても地道な取り組みですが、みるみる営業力が強化され、成果につながっていきました。

 

この営業強化ができないと、BtoBの販路開拓は、うまく進みません。中小企業では、社長や一部の幹部スタッフは、トップセールスができるけど、他の営業マンがまったくできないというケースも多いのですが、まさにこの大きな課題を打破する取り組みでした。

 

結果としては、大成功となりました。業務用向けの食品販売において、コロナ禍で、多くの同業が業績を大幅に落としているところを横目に、新規開拓をどんどん進めて、業績を落とすどころか逆に上向かせる結果をもたらしました。

 

受託事業の自社ブランド化と営業力強化は、それなりの時間とコストがかかりますが、しっかりやりきって成果を出せば、見返りは大きなものがあります。

 

同社の例でいえば、年商20億ほどの会社ですが、半分が業務用です。その落ち込みを大きくカバーしましたが、概算で年間5億円ほどの売上増をもたらしています。

基本的には業務用で、継続お付き合いが前提となっている販路を開拓しているので、この5億円は一時的なものではありません。この先何年も継続していくことを考えると、かなり大きなリターンを得ています。

 

 

以上、3つの事例をあげましたが、受託の依存度が高い会社は、利益を出せているうちに、地に足をつけて「自社ブランド」の方向性を見出すことが大切です。

 

もちろん、日々の営業対応において、人的サービスで差別化をしていく努力も必要ですが、これは手法としては正しいですが、やはり限界があります。まさに、レッドオーシャン、血みどろの戦いです。一番かわいそうなのは、一生懸命に働いている社員です。

 

次世代の社員を守り、誇りを持って仕事をしてもらう会社になるためには、経営者が、業界における自社の役割を明確にして、突出していく方向性を見極め、「自社ブランド」を築いていくという意識を強く持つことが何よりも大切なのです。

 

 

もし、あなたが受託メーカーの経営者であれば、この大きな「自社ブランド」づくりという課題を置き去りにせず、一日も早く真剣に向き合って欲しいと思います。

 

次の後継者に安心してバトンを渡せますか?

 

 

 

追伸:

毎月、経営者向けのセミナーを開催しています。

「自社ブランド」づくりに興味がある方は、ぜひ一度ご参加ください。

直近では、10月19日(火)の15時~オンラインにて開催予定です。

https://www.mr-m.co.jp/lp/

 

株式会社ミスターマーケティング

 代表コンサルタント

                                                       村松 勝